リップヴァンウインクルの花嫁:感想【黒木華と綾野剛がイライラさせる】岩井俊二のロリータ脳が爆発する三時間

リップヴァンウインクルの花嫁:岩井俊二の作家性は閉じた世界の中での夢想。ゆっくりと落下する恍惚感。

岩井俊二は日本でもかなり珍しい「やりたいことしかやらない」監督という印象がある。
冷たくて絶望の淵を軽やかに踊る映画や
日常の中に棲む非日常を薄く剥ぎ取るような映画で、ずっとファンを減らさず、増やしてる。

今回の映画のように、タイアップなしの、圧力なしのオリジナルな原作を書き、脚本監督をするのも恵まれてる環境なんだと思う。

逆光を多用した(自然光であれ、ライトであれ)人物はほとんど暗がりの中で表情を変える。前作のヴァンパイアがキャリアとして語られてないのが不思議だけど。(すごいいい映画だった)

 

リップヴァンウインクルの花嫁での岩井俊二の新しいミューズ「黒木華」

岩井俊二といえば新「蒼井優」。彼女を引っ張り出しただけでも日本映画界への貢献度はすごい。今回はもう演技が評判になっている「黒木華」を、「俺が代表作を書く!」てな勢いで使ってる。先に俺が見つけるべきだった!て具合に。
そのくらい「書きたい世界」がはっきりしてて、黒木華は絶対必要だったんだと思う。

リリィシュシュでの蒼井優そっくりだったから。

地味な顔立ちで、ロリぽくて。岩井俊二の脳内の洋館に住んでる女の子。すっと背が高く、ふくらはぎのカーブがまだ固く、白い肌は頬の赤さを際立たせる。

リップヴァン

 

リップヴァンウインクルの花嫁は「深読み」も「浅読み」もできる映画

肝心なところをはっきりさせないストーリー。偽物の世界が中心のお話なので、映画として現れてる部分だけをチョイスして楽しむこともできるし、「あれって実はこうだったりして!?」なんていう楽しみ方も出来る。
いたるところにガンダムネタが出まくるし、まあオタク映画だ。大好きなタイプの(笑)

 

僕の深読みはこう。

アムロユキマス(綾野剛)は食らいついたら離さない。ネットツールを使って見つけた女、披露宴でのエキストラ要請をしてきた七海(黒木華)を顧客リストに載せる。
彼女からは「旦那の浮気調査名目」で金を取り、旦那のお母さんには「うまく別れさせる名目」で金を取る。
離縁された女一人、東京で見つけるのは情報網さえあれば朝飯前。
今度はお得意様クライアント真白(Cocco)に面通しさせ、「誰かと死にたい」彼女から1000万円のギャランティを受け取る。
真白の母親(りりぃ)も実は雇われた役者で。目の前で渡された金はギャランティ。
七海が彼の顧客リストにいつまでも乗るように。

 

 

ランバラルは何者なのか?
一緒になべを食べた女性は調査員か?
臨時職員斡旋の彼は?
真白は本当に自殺なのか?

ワクワクするよね。

リップヴァン

 

リップヴァンウインクルの花嫁でのガッチャマン俳優・綾野剛は安定のうまさ。

気持ち悪い笑顔、笑い声。
金になることならなんでもする。一つの事実を作り上げ、双方から金をふんだくる。彼の言ってること、やってることはすべてインチキで。
本当胸糞悪い。
そこが最高なんだけどね。ほんと。
歌舞伎町のスカウト役みたいな、あからさまにわかりやすいのはつまんないけど、見てるうちに「あ、こいつはもしかしたら彼女のためにやってる?」なんて勘違いしてしまうくらい「いい男ぶり」を発揮する。
高級車から廃品回収車まで似合う。
土下座から札束まで似合う。

アムロユキマス

 

リップヴァンウインクルの花嫁:流れていく人生は静かな自殺

え、あ、はい

え、あ、そんな、

え、あの

七海は目の前で起きることを「事実」だと思い込み、自分で判断する能力に欠け、手間をかけずになんとかなればと、何でも屋にお願いする。もしくは断りきれず話に乗っかる。

自分の意思で決めずにずるずるやってたら、骨の髄までしゃぶられるぞ!という表テーマがあるような気がした。

だって本当にイライラするもん。黒木華の演技見てたら。

 

でもそれは表立ったこと。岩井俊二の映画ではストーリーは登場人物を転がすためだけにある。
岩井俊二は

  • メイド服の女の子
  • 人生につまずく女の子
  • ウエディングドレスの女の子
  • ピアノで歌う女の子
  • 庭で水をまく女の子

など、彼の頭の中にいる女の子を「共有したかった」だけなんだから。
そして、それを見たがってる岩井俊二ファンをよく理解してるから。

 

リップヴァンウインクルの花嫁:Coccoは天使。純度の高いヘロインのよう。

Cocco、いやーよかった。こんなに素敵に演技できるなんて。(演技っぽい演出はないけど)本当に手放しで100点。一時期よりも少しお肉もついてて、エキソントリックな自傷性も落ちてて。真綿のような心の女優の役を、何倍にも豊かに美しく、抑制のきいたキャラクターにした。

今作で一番映画らしいベッドのシーン。
美しく、暖かく。
そして彼女は冷たくなる。

歌うシーンも少しあるけど、あのくらいのカットで十分。だって存在感ありすぎだもん。
あ、七海の歌う「僕たちの失敗」も良かったけど。

ワンフレーズ歌うだけで映画を吹っ飛ばすくらいの力があるシンガー。
本当に素晴らしい。

岩井俊二の新しいミューズは、もう一人いたってことか?
これからもどんどん映画に出て欲しい。

RipvanWinkle

 

リップヴァンウインクルの花嫁:映画のテーマの一部「お金」

やって欲しいことは何でもやる。そのギャランティとしてのお金。
自分のできないことをお願いするときの圧力としてのお金。
あまりに眩しすぎる幸せの輝きに潰されないようにするためのお金。
眺望を手に入れるためのお金。
コンビニでお弁当を買うためのお金。

お金は世界を動かしてるけど、使ってる人、貰ってる人の感情は同じではない。

最後に、タンスの中に、ぽんっと置かれたお金。あまりにも無防備な。
七海の周りで飛び交ったお金の残骸。魚の骨のような。

でももしかしたら、お金をもらうこと、お金を払うことでは得られなかった何かを七海は見つけたのかも。

 

リップヴァンウインクルの花嫁:映画館で聞く大きなピアノ

映画館の良さはやっぱり「大きな音」だなあと思った。
全編流れるピアノ。家でTVで聞くのとは違った音。激しい音楽よりもかえって耳に残る音の風景。逆光の人物を包むピアノ。
大きな音っていいな。映画館くらいの大きさ。

帽子

 

リップヴァンウインクルの花嫁:でも結局はおとぎ話

七海と真白が住む洋館はお菓子の家だし。
ウエディングドレスで息をひきとる姿も美しい絵のよう。
死を選ぶのに猛毒の生き物を選ぶなんて、ガーリーの骨頂(笑)

特に今作は「山田洋次」へのオマージュかアンチテーゼか、俺より先に黒木華見つけやがっての怨念か(笑)古き良き日本映画のムードがあった。

三時間の上映時間が全く間延びしないガーリー映画。
さして盛り上がるところも、ドラマチックなところもなく。

脳内でロリータをチェスの駒のように動かして遊ぶ岩井俊二を観客は見るだけ。

それだけでも映画としての価値はある。
今作でもファンは岩井俊二の毒を飲み、中毒になり、次回作を待つのだろう。

 

リップヴァン

 

そうそう。
大好きだったAV女優が姿を見せてたのもよかった。

夢想世界でのリアリティ。
本物そっくりの夢のために必要なこと。

 

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