戦争と一人の女:感想【イデオロギーを映画化する危うさと、それでも踏ん張る江口のりこ】

 

戦争と一人の女:嫌われることをやる映画人

日本人がいかに戦争で狂ったことをやってきたか!ということを、エロというわかりやすい衣で包んで見せようとしたんだと思う。

女優「江口のりこ」が体を使って主張する。
日本と戦争。

坂口安吾の原作は読んだことがなんだけど、きっと安吾なら「ポカーんと抜けたペーソス」を書いたんだろうけど。

製作者の熱が強すぎて、自己陶酔してる部分がちらほら。

でも、映画人は世の中の流れに逆らい、多数派が隠そうとすることをむき出しにする使命があるから、この映画を世に送り出したのは正しいし、WOWOWでぼかし入りとはいえ、見ることができたのはいいことだ。

 

戦争と一人の女:深夜に見るペニスの形の木

焼い弾で焼け野が原になった東京に、一本の木が立っている。
それは男性器の形をしてる。

こんなのとやったら私の体は壊れちゃうわ

とても可愛らしく、笑えるシーンだ。

古代から天に向かってそそり立つモノを作り、崇める人類。
種の保存の本能ではなく、種の主の「使い捨てされる弱さ」を隠そうとするための策略か?

数え切れないほどの男性器をくわえ込んで不感症になった主人公の女。
セックスで感じることが生きてる証ならば、彼女は死んでるも同じ。
だから今日も股を開く。
でもそれは諦めではなく

「次こそは感じるかも」という淡い期待

はっきりと「生きるということに肯定的」な映画にするなら、イデオロギーを感じさせる「わかりやすいセリフ」は必要なかったかなあ。
見た後になんとなく「嫌な感じ」と「生きる活力」を与えようとするなら。

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戦争と一人の女:レイプも空襲も同じこと。正義なんてない。

空襲で焼ける都市。たくさんの命が一瞬で消える。
燃える住宅。ミディアムレアな死体。

もっと燃えろと叫びながら、やっぱり怖くなって火を消そうとする。そういう行為が「人間」の面白さだと思う。
感情的になったり、投げ出したり拾ったり。
レイプしたり、助けたり。

人はその都度、変わる。
恐ろしい獣になったり、哀れみ溢れる天女になったり。

空襲で家々を焼き尽くす
女を騙し犯す
ヒロポンで意識をなくす

どこまでも落ちていく人間。その落ち様を描こうとしたのならまだやり方はあっただろう。

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戦争と一人の女:正しいピンク映画の継承?

最近見た「この国の空」との比較をしてしまう。
あちらはメジャーな映画。
予算もある。
書きたいことは情念。人が持つ性のエネルギー。
熱り立つ男性器と、しっとりと包み込む女性器。

時代考証の細かいところはわからないけど、どちらも舞台を「ステージの上」においた様なスケールの狭さがあった。
ただ「この国の空」には開放感があった。
これがメジャー映画の味付けだ。

一方、ピンク映画はどうだろう?
学生の頃映画監督になりたかった僕は「ピンク映画」を見続けた。

ピンク映画は、世情に反応する。

今あった事件が、半年後には映画になってる。
セックスシーンがちゃんとあれば、お話も自由。ありとあらゆるジャンルの映画があった。

ピンク映画はレジスタンス。
そういう意味で「戦争と一人の女」は立派なピンク映画だった。

セックスと、主張。
それをきちんと煮詰めるわけでなく、その場で、出したいものを出す。
それがピンク映画。

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