浅田真央がめざす光、見せる光 (後・その日)

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1月9日、本番。
国内外から、そうそうたるスケーターが終結してショーが行われます。

浅田真央と子どもたちの衣装は、
宮城の服飾の専門学校生がデザインから縫製までを担当したもの。

アイスリンクにプロジェクションマッピング(?)で奇跡の一本松が投影され、
浅田と子どもたちが掛け上っていくような意匠になっています。

浅田がつけた短い詞は、ジュピターの旋律に乗せ、
イギリスのボーイソプラノ・ユニット「リベラ」が歌います。

そしてトリプルアクセル。
「まさかアイスショーで」と驚き、沸く客席。

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終わったあと、控室で子どもたちと語り合い、記念撮影。
それも終わったあと、
番組のスタッフに「どうでしたか」とマイクとカメラを向けられた浅田真央。

試合でも、ショーでも、
彼女が滑ったあとには、必ずこのようなインタビューがあります。

浅田も慣れた様子で「おつかれさまでした」と応じますが、
「今日のショーは特別なものなので・・・」
と話し始めるや、
みるみるうちに目にいっぱい浮かんだ涙を、ポロポロとこぼし始めました。

「私自身も思いが・・・」
続けようとしますが、次から次に涙があふれて止まりません。
「すみません」と、いったん時間をおくことに。

カメラの前で彼女がこんなふうに泣くのは、
バンクーバー五輪のフリー直後、あのとき以来だと思います。
ソチ五輪では、氷上でフィニッシュ直後に泣いていたけれど、
インタビューゾーンに来たときは、もう泣いていませんでした。

悔しい試合や、反対に満足できた試合、ものすごい喝采を浴びるショー。
彼女にはたくさんのキャリアがあり、
浅田真央原理主義(笑)の私はそれらの数々を見てきましたが、
彼女がインタビューを中断するほど涙する姿を、本当に久しぶりに見ました。

「多くの人が、この1つのプログラムのために時間を割いてくださって、
私も今までに感じたことのない気持で滑りました。
いつもは競技として滑ることが多いけれども、
フィギュアスケートで自分の気持ち、表現したいものを伝えることができるのだと思いました」

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このように、現役選手がみずからプログラムをプロデュースし、
地方で、子どもたちと一緒に滑るのは、すごくレアケースだと思います。

しかも新年早々。
というか、競技シーズン中だったのです。
このときは全日本選手権を終えたばかりで、
3月には、1年で最も大事な試合、世界選手権を控えていました。

休養明けだったこのシーズン、若手の台頭もあり、
浅田真央は全日本でも勝っていません。

それでも彼女が世界でトップを争う選手であることには変わりなく、
むしろ、表彰台が厳しい状況だからこそ、
世界選手権に向けて、ストイックに調整しなければならない時期のはず。

「なぜ、今、こんなことを?」
と思う関係者やファンもいたのでは。と想像します。
チャリティーなら、しかも自分でプロデュースまでしたいなら、
引退してからでもいいじゃないか。
せめて、シーズンオフにやろうよ、と。
私も企画を知ったとき、ちょっと、そう思いました。

でも、違うんですね。

試合での順位や、得点や、パフォーマンスが何より大事で、
わき目もふらず、それだけを追求する時期が彼女にもあったでしょう。

今は、時間を割き、力を割いて、
自分の思いを表現し、人々に伝えたいと思っている。
それが自分にはできるという自信も、きっとある。

ひとつのプロジェクトのために集まった人々との出会い。
そして子どもたちと一緒に練習し、東北で披露する。
今の彼女は、そういうことも自分の力に替えているのでしょう。
競技へのモチベーションのひとつにも、つながっているのではないでしょうか。

そんなキャリアの積み方、
競技との向かい合い方も、あるんですよね。
若いときから世界の第一線で戦ってきて、
いつでも注目の的だった彼女の競技人生に、
今、こういう時間のあることが、なんだかとても尊く思えます。

3月、世界選手権では6位でした。

浅田真央はもう、表彰台には遠い選手になったのか、
いや、休養明けでの、この成績はすばらしいのか、
見る人によっていろいろだと思うけど、
彼女が来年も現役を続けることに驚きはありませんでした。

私は来年も彼女を応援して、
きっとまた、応援することで力をもらうんだと思います。





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