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児玉知道【01:故郷を飛び出すほどの衝撃を】

もともとシンガーソングライターになりたいとは思っていたんです。

◆音楽との出会いは?いつ?

小学校のころ、叔父さんがギターを弾いて歌っているのを見て「ああ、かっこいいな。こんな風になりたいな」と思いました。音楽の原体験は叔父さんの歌うビートルズですね。

学生のころはそんなふうでギターを持って歌っていたんですが・・・。
20歳からギター教室でクラシックギターをならっていて。山形でのライブ活動もギターインストだったんですよ。

演奏のお仕事をもらったりできるくらいには上達してました(笑)
ギター教室にも通いながら。

 

◆え?歌を歌いたいとは思ってなかったの?

いえ。小学校のころから「ギター弾いて歌を歌いたいな」とは思っていたんですけど、習いに行った教室の先生がインスト志向で。
まあ、なんとなく。そんな風で。でもギターは好きだったんで、一日8時間とか練習してました。

 

◆じゃあ、いわゆる普通の週末ミュージシャンだったんだね。

そうですね。仕事しながら楽しみは土日にある。

 

◆まあ、普通に楽しい人生だよね?それがなぜ?

あるときギター教室の先生が聞かせてくれた一本のテープに衝撃を受けました。
なんというか、かっこいいなあ。こんな生き方もあるんだ!と

 

◆その人はどんな人なの?

平田達彦さんというシンガーソングライターで。
歌一本で就職もせず、日本全国旅して回る。自分とは全然違う生き方で。すごいなあと。

 

◆まあでも、10代ならともかく、ちゃんと仕事もしてる30歳。週末には自分の楽しみもちゃんとある。そんな「大人」な自分をぶち壊すくらいのものだったんだ。

ですね。平田さんはそのとき50歳超えていて。ああ、僕もまだやれるんじゃないだろうかと思ったんです。
平田さんとは手紙のやり取りもし始めて。感化されましたね~。
短期のバイトにもぐりこんでは、そのことを歌にして、歌う。こんな生き方もあるんだ!と。

 

◆よし!福岡へ行こう!って思い立って、どのくらいで山形を出たの?

半年、ですね。(笑)もう、我慢できなかった。

「俺ってこのままでいいのか」

という思いばかりが浮かんできて。

周りの人にそのことを話すと、「すごいね~」って言われて。まあ言葉の裏に「馬鹿じゃないの?」っていうのがセットな感じの(笑)
もう年をとりすぎてるよ!っていう真っ当なアドバイスもありました。
今考えると、安定した給料もらってた会社も辞めて。付き合いだしてた彼女にも「かならず迎えにくるから」っていって。

 

◆彼女はなんていってたの?

付き合う前から考えてたことで、どうしても行きたい。諦めるつもりはないと。それでもいい?と聞きました。衝撃は受けてましたが、僕の覚悟が伝わったみたいで。

やりたいことがあるんなら、やるほうがいいと言ってくれました。

そして、一度しか出来ない貴重な体験だから、最初は予定通り一人で行った方がいいと。

 

◆勢いついてしまってエンジンがかかっちゃったね。でもなぜ、九州へ?

九州に憧れがあったんです。僕は山形好きだけど、寒いのと雪が嫌いで。暖かいところへいきたいなあと。
で、九州、福岡へ。
ところが僕が来た年は大寒波(笑)とにかく寒い寒い。なんだこりゃ!って思いました。
帰ろうかなと思いました(笑)。

 

◆でも、かえらず(笑)東京とか大阪とかの選択肢はなかったの?

うーん。なんか山形から上京ってなんだか当たり前かなあと。僕は旅の歌を歌いたかった。だから情報のない、知り合いのいない九州・福岡がいいと。
まあ、「南国」と思ったことは、大きいです。(笑)

 

>>>つづく