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高橋プランクトン【03:東北で感じた、生活のリアリティ】

旅をしたら、人生変わるって聞いて。それもいいかな~と思って。

 

◆なぜ?旅にでようと?

理由はいくつかありました。
そのころ毎週一緒にギター弾いていた太一さんという人がいて。薬剤師なんですけど彼が「実家の熊本に帰らなきゃいけない」ってことになって。
自分も劇的に安い給料の工場に「こりゃいつか辞めないといかんな」と思ってたし、まあ普通に「旅」への憧れと。
その三つがタイミングよくあって、じゃあ、いこうかと。
だからよく「旅に出るなんてすごいね!」とか言われるけどそんなことなくて。ただ、太一さんと一緒にいったら面白いだろうなあと思ったくらいで。

でも太一さんは出会ったころ僕のこと、きらいだったですからね(笑)いまはもう、すんごく仲がいいけど。一緒にいる時間は一番長くて。太一さんなにやっても怒らないんですよ。だからいいなーって思って。

じゃあ太一さん!実家帰る前に旅に行きましょうよ!って炊きつけて(笑)
乗っかっただけです。
実際、車を運転するのも太一さんだし(笑)

炊きつけながら、どんどんワクワクし始めました。おし!旅で人生かわるぞーって!盛り上がりました。

 

◆旅はどんなプランでスタートしたの?

まずは北海道まで行こう!とフェリーで。日本最北端に向かっていきました。
全部の県を南下しながら、お金がなくなったら終わろうと。

でも、東北を出たとき、やりたいこと、伝えたいことが見つかって。
その後は急いで九州へ帰ってきました。

 

◆盛り上がって出発した旅はその後どんな風にすすんだの?

旅にすごく期待していたんです。人生が変わるとか、新たな自分が見つかるとか言うじゃないですか?だからなにか手に入れられると。
なのでゆっくり旅するというより、未経験の最北端にいって、そこから始めたかったんです。

でも、なにも感じなかった。
最北端の宗谷岬にいっても、ただ寒いだけの海。
何もない。ただの海。なにも感じなかった。
だってTVで見たことある景色だし。

琵琶湖とかもすごいだろうと期待してました。日本一の湖だし。
富士山にも登りました。日本一の山。
関が原にもいきました。なにか熱気を感じられるかと思って。
でもただの原っぱです。なにも感じない。
それは僕の感受性の問題かもしれないけいど。

 

◆期待を裏切られた感じ??

旅が始まって最初、僕は気を使って、盛り上がってる振りをしてた。すげー!これが北海道かーすげーって。
でも日がたつに連れここままじゃヤバイと思ってきた。

人生が変わると思って、仕事をやめてお金を使い果たして旅に出たのに、なにも見つからない。これじゃ旅行と同じじゃないかと。
期待を大幅に下回った現状に焦ってきて。

全部の県をめぐっても、得るものがないんじゃないかと思ってたときに、太一さんが「東北にに行こう」っていい始めて。

旅に出る前から太一さんが東北にも行けるなら旅もいいかも。というのは知っていたんです。

僕は旅をしてみたい。

太一さんは東北にいってみたい。

この二つの目的があって、僕の方の希望はほぼ最初らへんに満たされた。というよりは、あぁ。色んなとこ行っても僕が思い描いていた「人生が変わる旅」というのは出来ないなあと気づいた。
それなら、後は太一さん側の目的に傾こう。

なので急遽、東北へ。太一さんのやりたかったことをやりましょう!と。

 

側溝に埋まった生活のかけらを見たとき、何かが変わりました。

 

◆すぐに東北にいってボランティア活動を?

東北についてボランティアをしようと決めてネットで調べると、ボランティアの基地のような感じのお寺があって泊まれると。
おお、泊まれるならラッキーくらいの感じで行きました。何も知らずに行って、すっと受け入れてもらった感じです。

 

◆具体的にはどんなことをやったの?

二週間ごとに変わるんですけど、行方不明者の捜索と、仮設住宅での演奏がメインでした。
あと、飼い主がいなくなった犬たちの散歩とか、動物のお世話とか。

演奏とはいっても仮設住宅のおばあちゃんおじいちゃんの知ってる歌を僕らは知らないんです。なんで太一さんがずっと歌ってました。ぎりぎり、さだまさしとか。
僕はずっとよこでギター弾いたり、後は話し相手。こっちが話すわけじゃなくて、話聞かせてもらう・・・いい時間でした。

行方不明者の捜索は、衝撃でした。

その場所は 一見、広い空き地のような印象で。
側溝をあけて、中を掘り出していくと、確実に生活を感じさせる破片がぞろぞろと見つかるんです。

かつてそこに生活があって、それが土に埋もれてる。人がここで暮らしていた残骸を自分の手で掘り起こす。
その重さとか、流されたものの数の多さとか。
リアリティをもって、そこにあって、その重さを体が、腕が感じてるんです。
その事実はショックでした。

 

◆震災のリアリティを体で感じたんやね。

ああ、ここに津波が来たんだ。人が家が流されたんだって。

そのことを感じました。
そして伝えたいことができた。
だから歌を歌いたいと思うようになったんです。

 

>>>つづく